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動物取扱業の開業を目指す方へ

動物取扱業の開業を目指す際、開業に必要な資金、資格や動物取扱責任者についてはしっかりと把握していても、設備の基準については、意外と見落されている方がいます。
そこで今回は開業の際に絶対に厳守しなければならない、施設や設備の基準についてのコラムです。

飼養施設の基本要件

最初に施設や設備の基準について説明します。
動物の適切な飼養には、種類や習性に応じた施設・設備が必要です。
犬猫のケージは、立ち上がりや横たわりなどの日常動作が容易に行える大きさとし、個体の体長・体高を基準とした比率で統一的に算出します。

※体長・体高とは
 体長は胸骨端から坐骨端までの長さ。体高は地面からき甲部(肩甲骨の上端部)までの垂直距離のことです。

飼養方式は2つに分類されます:
  • 運動スペース分離型:寝床と運動場所を分ける方式
  • 運動スペース一体型:寝床と運動場所を含む統合方式
分離型で長期飼養する場合は、閉じ込め防止のため一体型と同等の運動スペース面積を確保し、運動場所の常時利用可能な状態維持と運動時間確保を義務化しています。
これらの基準により、動物の健全な成長と適切な運動・休息を保障するとともに、自治体による客観的な確認と事業者の理解促進を図っています。

分離型と一体型

分離型(ケージ飼育)
  • 寝床・休息用のケージを使用する飼い方
  • ケージの大きさは飼養期間に関係なく基準を満たす必要がある
  • 長期飼養の場合:ケージとは別に、一体型と同じ広さ以上の運動スペースを設置することが必要

一体型(平飼い等)
  • 寝床・休息場所と運動スペースが一緒になった飼養設備
  • 平飼いなど
  • 注意点:平飼いでも基準面積に満たない場合は「分離型」扱いとなり、別途運動スペースの設置が必要
つまり、動物を狭いケージに閉じ込めるのではなく、適切な運動スペースを確保することで、動物の健康と福祉を守ることが目的です。

運動スペース分離型の基準

  • 犬:タテ(体長の2倍以上)×ヨコ(体長の1.5倍以上)×高さ(体高の2倍以上)
  • 猫:タテ(体長の2倍以上)×ヨコ(体長の1.5倍以上)×高さ(体高の3倍以上)、1つ以上の棚を設け2段以上の構造とする。
  • 複数飼養する場合:各個体に対する上記の広さの合計面積と最も体高が高い個体に対する上記の高さを確保。

動物のケージサイズの基準について

基本的なケージの大きさ
動物が寝床や休息場所として使用するケージには、1頭あたりの最低限必要な広さが定められています。
この基準は、動物が日常的に行う以下の動作ができるサイズを基に決められています。
ケージ内での方向転換、立ち上がる動作、猫の場合は上下運動(ジャンプなど)。

【複数の動物を同じケージで飼う場合】
親子や兄弟姉妹など、複数の動物を同じケージで飼う場合
床面積(個別ケージの床面積 × 動物の頭数分が必要)
ケージの高さ(最も体の高い動物を基準とし、犬:体高の2倍以上、猫:体高の3倍以上)
複数飼いは、社会化(動物の健全な成長)の促進や、犬が社会性を有する動物であることなど考慮しているからです。
注意点として、複数の動物を同じケージに入れる際は、動物同士の相性を十分に考慮し、過度な争いが起きないよう組み合わせにしてください。

運動スペース一体型(平飼い等)

  • 犬:床面積(分離型ケージサイズの6倍以上)×高さ(体高の2倍以上)
    複数飼養する場合:床面積(分離型ケージサイズの3倍以上×頭数分)と最も体高が高い犬の体高の2倍以上を確保。床面積は、同時に飼養する犬のうち最も体長が長い犬の床面積の6倍以上が確保されていること。
  • 猫:床面積(分離型ケージサイズの2倍以上)×高さ(体高の4倍以上)、2つ以上の棚を設け3段以上の構造とする。複数飼養する場合:床面積(分離型ケージサイズの面積以上×頭数分)と最も体高が高い猫の体高の4倍以上を確保。床面積は、同時に飼養する猫のうち最も体長が長い猫の床面積の2倍以上が確保されていること。
  • 繁殖時:親子当たり上記の1頭分の面積を確保(親子以外の個体の同居は不可)。 ケージの大きさは飼養期間に関係なく基準を満たす必要がある
  • 長期飼養の場合:ケージとは別に、一体型と同じ広さ以上の運動スペースを設置することが必要

運動スペースのサイズ基準

運動スペースは、動物の体長・体高に基づいてサイズを決定します。分離型ケージをベースとして、以下の運動ができる広さを確保します。
  • 犬の場合:走るなどの自然な運動が可能な広さ
  • 猫の場合:上下運動(ジャンプや登り降り)が可能な広さ
【1頭で飼う場合の基準】
床面積(犬:分離型ケージの6倍・猫:分離型ケージの2倍以上)
ケージの高さ(最も体の高い動物を基準とし、犬:体高の2倍以上・猫:体高の4倍以上)
【複数頭で飼う場合】
複数の動物が運動スペースを共有できるため、1頭あたりの必要面積は単独飼いの半分になります。
1頭あたりの床面積・犬:分離型ケージの3倍(単独飼いの半分)・猫:分離型ケージ相当分(単独飼いの半分)
ケージの高さ(最も体の高い動物を基準とし、犬:体高の2倍以上・猫:体高の4倍以上
重要な条件
犬は走る等の自然な運動を行える広さ、猫は上下運動が可能な広さが必要となります。

施設の安全性について

破損がない状態を維持
ケージや訓練場は、サビ、割れ、破れ等の破損がない状態を保つ必要があります。施設全体の安全性を確保するため、定期的な点検と適切な維持管理が求められます。
十分な強度の確保
動物が脱走できない構造・強度を持つことが必要です。動物の体力や行動特性を考慮した十分な耐久性を備えている必要があります。
害虫対策
侵入防止構造・ ねずみ、はえ、蚊、のみ等の害虫の侵入を防げる構造になっていることが必要です。これらの害虫は動物の健康に悪影響を与える可能性があるため、確実な防止対策が重要となります。
駆除設備
害虫の侵入を防ぐ、または駆除を行うための専用設備を設置することが求められます。予防と対処の両面から害虫対策を講じる必要があります。
清潔な環境の維持
清掃しやすい構造・ 床、壁、天井、附属設備は清掃が容易に行える構造であり、清潔な状態を維持管理しやすい材質・形状である必要があります。日常的な清掃作業を効率的に行えることで、衛生的な飼育環境を継続的に保つことができます。
作業環境
十分な作業スペース・飼養・保管業務を適切に行うために必要な作業スペースを確保することが重要です。作業効率と安全性を両立できる十分な空間が必要となります。

今回のコラムでは、飼養施設に関する基準のうち、主だった内容や数値を中心にご紹介しましたが、実際にはさらに多くの詳細な基準が存在します。
現在、開業準備中で「この他の基準も知りたい」という方は、お気軽にお問い合わせください
状況に応じて、個別に丁寧にご説明いたします。

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