第二種動物取扱業って何?
不幸な動物を救いたいという想いから、保護活動として動物を預かり里親を探しているだけ。
営利目的等ではないから『行政への届け出等は不必要』と考えている方がいるかも知れません。
でも預かりの頭数などにより、動物取扱業の届出が必要になる場合があります。
今回は『第二種動物取扱業』についてのコラムになります。
第二種動物取扱業とは?
まず、第二種動物取扱業って何?と思われた方もいらっしゃるのでは?
平成25年の動物愛護管理法改正により、営利目的である第一種動物取扱業だけでなく【非営利で動物を取り扱う団体等】に対しても、行政が飼育実態を把握し適切な指示を行うために、届け出を行うことを定めました。
第一種動物取扱業と第二種動物取扱業の明確な違いは、営利か非営利かです。
相手方が費用負担を行うのに合理性(譲渡する動物の治療費等)があり、領収証や明細書に記載された金額を超えない範囲で受け取る場合は、実費弁済として認められます。
第二種動物取扱業として届け出る必要がある業種
では具体的に第二種動物取扱業の届出が必要な種類(業種)をご説明します。
動物保護団体の譲渡行為、イベント等の無料動物ふれあいコーナー(入場料等が必要で、その施設に収益が出る場合を除く)などです。
第二種動物取扱業も内容により業種が別れており、目的に応じてそれぞれの届出が必要となります。
業種 |
内容(例) |
譲渡し
(ゆずりわたし) |
動物愛護団体が保護したり引き取ったりした動物を、里親(第三者)に譲る |
貸出し |
動物(盲導犬等)を無償貸与する |
保管 |
迷子の動物を一時保護した後、飼い主に返還する |
展示 |
無料でのふれあい体験や、アニマルセラピーなど |
訓練 |
動物の預かりや訓練を行う |
第二種動物取扱業として届け出る必要がある業種
第二種動物取扱業の届出がは、先ほど説明した行為だけでなく【1・飼養施設を有している、2.一定数以上の動物を取り扱う予定がある。】この両方を満たしている場合も必要となります。
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1・飼養施設を有しているとは
「動物専用の施設」があること、つまり人間の居住用のスペースとは異なるスペースがある場合をさします。
住居とは別施設はもちろん、自宅にケージ等を備えつけても「動物専用の施設」とみなされるので、注意が必要です。
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2.一定数以上の動物を取り扱う予定があるとは
分類によって届出が必要な頭数が決められており、定められている頭数より多く飼養する予定がある場合は、届出をしておきましょう。
届出が必要な飼養頭数例
分類 |
対象頭数 |
動物の例 |
小型動物 |
50頭以上 |
ネズミ、リス、インコ、ハト等 |
中型動物 |
10頭以上 |
イヌ、ネコ、ウサギ、ニワトリ等 |
大型動物 |
3頭以上 |
ウシ、ウマ、ブタ、ヤギ、クジャク、ダチョウ等 |
特定動物 |
3頭以上 |
ライオン、ワシ、ワニガメ等
(特定動物に指定) |
動物の飼養、保管に従事する従業者の員数
第二種動物取扱業者も第一種動物取扱業者と同じく、動物の飼養、保管に従事する従業者の員数が定められています(令和7年6月より)
1人当たり犬30頭(うち繁殖犬25頭)、1人当たり猫40 頭(うち繁殖猫35頭)上限規制があり、多く犬猫を保護したい場合は相当人数のスタッフが必要となります。
※いずれも、親と同居している子犬・子猫及び繁殖の用に供することをやめた犬猫は頭数に含めない。(その飼養施設にいるものに限る)
大切な命を護る上で、スタッフの人数は厳守しましょう。
第一種動物取扱業と第二種動物取扱業の違い
第一種動物取扱業と第二種動物取扱業違いはどこにあるのか?
第一種動物取扱業は動物取扱責任者を選任→動物取扱責任者を選任→書類等を用意し【申請】→書類審査→施設検査→登録証発行→登録証受理→営業開始です。
第二種動物取扱業は書類等を用意し【届出】→書類審査→施設検査→業務開始です。
比較項目 |
第一種動物取扱業 |
第二種動物取扱業 |
申請(届出)方法 |
申請→登録制(要審査) |
届出制 |
営利目的 |
可(対価を得る) |
不可(実費) |
動物取扱責任者 |
必要 |
不必要 |
飼養施設・設備の基準 |
あり |
あり |
更新 |
5年毎 |
なし |
講習 |
あり |
なし |
罰則 |
無届け・改善命令や業務停止命令に従わなかった場合は、100万円以下の罰金
虚偽の報告等、30万円以下の罰金 |
無届け・改善命令に従わなかった場合は、30万円以下の罰金 |
第二種動物取扱業を利用して、動物取扱責任者になるための実務経験を積む
過去の問合せの中に「第二種動物取扱業として実務経験を積めば、第一種動物取扱業の動物取扱責任者になれますか?」というものがありました。
第一種の登録には「動物取扱責任者」の選任が必須で、その資格要件のひとつが、「種別に応じた実務経験が1年以上あること(※一定の条件付き)」です。
この「実務経験1年以上」の証明手段として、以下のように第二種の届出を活用する人もいるようです。
実際に将来的に第一種で開業したい人が、まずは第二種で届出をする。
たとえば「ペットシッター」や「老犬介護」の分野で独立したい人が、最初は第二種として、個人『保護活動(譲受・保管)』で開始。
→ その活動を「種別に応じた実務経験」として積む。
→ 1年経過後、第一種にステップアップ。
実際に「第二種での業務実績や契約書などを提出すれば、第一種の動物取扱責任者の実務経験として認められる」地域もあるようです。
しかし、「第二種の実績が第一種の責任者要件に認められるかどうか」は、自治体によって運用に差があります。
一部自治体では厳格で、実務内容や契約書、顧客数まで問われることもあるので、注意が必要です。
地域により【同等と認められる経験】の解釈が違いますし、「第二種=自動的に第一種の責任者資格につながる」わけではないので、事前に確認することが大切です。
第二種動物取扱業を理解する
第二種動物取扱業は、「手軽に動物を扱える簡易な制度」ではありません。
動物の適正な飼養を確保するため、必要な設備を設け、逸走の防止、清潔な飼養環境の確保、騒音等の防止等が義務付けられています。
第一種とは目的や対象が異なるだけであり、第二種動物取扱業は、営利を追求することではなく『動物の適正な管理と福祉を守るため』の制度です。
第一種と第二種、それぞれの動物取扱業の違いや役割をしっかりと理解し、自分にとって最適なスタイルを見極めることが大切です。
目的に合った道を選ぶことで、より安心して活動を続けることができます。
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